世界じょうしき図鑑

土亭秘訣とていひけつ一年の運勢を読む書

生まれた年・月・日から144通りの卦の一つを出し、新しい一年の運勢を月ごとに読む韓国の占い。朝鮮時代の学者・李之菡(号は土亭)の作と伝えられ、今も正月の楽しみとして親しまれています。

発祥:朝鮮半島朝鮮時代(16世紀)の作と伝わる生年月日で占う解説のみ

概要

土亭秘訣(トジョンビギョル)は、韓国で新しい年を迎えるころに「今年の運勢」を見るために使われてきた占いの本です。旧暦の生まれた年・月・日から数字を計算し、144通りある「卦(け)」のどれか一つを出します。そして、その卦に書かれた一年の運勢と月ごとのお告げを読みます。

今も旧正月(ソルラル)のころになると、新聞や雑誌、インターネットで土亭秘訣が紹介されます。家族や友人と結果を見せ合う、季節の楽しみの一つになっています。

由来と歴史

李之菡の伝承

土亭秘訣は、朝鮮時代の学者・李之菡(イ・ジハム、1517〜1578年)が作ったと伝えられています。李之菡は、ソウルの麻浦(マポ)の川辺で、土壁の粗末な家に清貧に暮らしたことから、「土亭(トジョン)」という号で呼ばれました。地方の役人として貧しい人々を助けたことで知られ、天文・地理・医学・占いなどにも通じていたと伝えられています。こうした人物像が、民衆のための占いの本の作者というイメージと結びついたと考えられます。

著者をめぐる学説

一方で、本当に李之菡が書いたのかどうかは、はっきりしていません。子孫がまとめた李之菡の文集『土亭遺稿』には、土亭秘訣は収められていません。そのため、のちの時代の人が有名な李之菡の名を借りた(仮託した)のではないかという説があります。

18世紀末から19世紀半ばの年中行事を記した『京都雑志』や『東国歳時記』には、正月に「五行占」で一年の運を見る習慣が書かれていますが、土亭秘訣の名は出てきません。このことから、土亭秘訣が正月の習慣として広まったのは、朝鮮時代の終わりごろ以降と考えられています。また、残っている古い版を調べた報道では、月ごとの運勢がすべてそろった今の形が定着したのは20世紀半ば以降だという指摘もあります。

仕組み・やり方

韓国の百科事典『韓国民族文化大百科事典』によると、卦は次のように3つの数字を組み合わせて作ります。

  • 上の数(上卦):その年の数え年に、その年の干支に応じた数を足し、8で割った余り
  • 中の数(中卦):生まれた月の日数(大の月は30、小の月は29)に、その月の干支に応じた数を足し、6で割った余り
  • 下の数(下卦):生まれた日に、その日の干支に応じた数を足し、3で割った余り

8×6×3で、卦は全部で144通りになります。たとえば「111」や「863」のような3けたの番号で表され、本の中から自分の番号を探して読みます。生まれた時刻は使いません。また、毎年の干支の数を使うので、同じ人でも年ごとに卦が変わります。

それぞれの卦には、一年全体の運勢を表す短い詩と、1月から12月までの月ごとのお告げが添えられています。月ごとのお告げは、4文字の句を3つ並べた形が基本です。自然や季節の様子になぞらえた表現が多く使われています。

文化の中での位置づけ・現代

土亭秘訣は、易(えき)の考え方をもとにしていると説明されることがあります。ただし、計算方法や卦の数は易経とはかなり違い、独自に発展したものです。内容は、お金、健康、家族、人づきあい、口げんかに注意すべき時期など、暮らしに身近な話題が中心です。

百科事典では、土亭秘訣が生活の苦しかった朝鮮時代末期に広まったことから、当時の人々の願いや不安を知る手がかりになる資料とも評価されています。現在では、出版社が毎年のように新しい版を出し、ウェブサイトやスマートフォンのアプリでも手軽に調べられます。

よくある誤解・豆知識

土亭秘訣は、生まれた時刻まで使う四柱推命のような細かい占いとは違い、年・月・日だけで一年の大まかな流れを見るものです。文章も詩のようで、さまざまに読めるものが多くあります。そのため、細かな予言として受け取るより、新しい一年の心構えを考えるきっかけとして楽しまれてきました。悪い結果が出ても「気をつけて過ごそう」と前向きに受け止める人が多いようです。

参考文献

最終更新:2026-10-08

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