世界じょうしき図鑑

骨占い骨や貝を投げて読む

動物の骨や貝殻、種などを投げ、その落ち方から相談者の悩みや病の原因を読み取る南部アフリカの占い。伝統的な治療師が、祖先の霊の導きを受けて行うものとされます。

発祥:南アフリカ・ジンバブエなど古くから儀礼解説のみ

概要

南部アフリカでは、伝統的な治療師が、動物の骨や貝殻などを投げて占いを行ってきました。日本語では「骨占い」と呼ばれることが多く、ソト語やツワナ語では「ディタオラ」、ズールー語では「アマタンボ」と呼ばれます。

この占いは、祖先への信仰や伝統医療と深く結びついた実践で、今も多くの人に頼られています。このページでは、娯楽としてではなく、生きた文化として、その背景と意味を紹介します。

担い手:サンゴマとイニャンガ

南アフリカのズールーの人々の間では、「サンゴマ」と呼ばれる治療師が占いを担います。ズールーの伝統的な考え方では、亡くなった祖先の霊(アマドロジ)が生きている人々を見守り、ときには病や不運を通して何かを知らせるとされます。サンゴマは占いによって相談者の悩みや病の原因を探り、祖先をなだめる儀礼や、薬草による手当てを勧めます。

サンゴマになる人は、自分で職業として選ぶというより、祖先に「呼ばれる」と考えられています。多くの場合、原因のはっきりしない病気や、不思議な夢を体験することがきっかけとされます。その後、先輩のサンゴマのもとで、数か月から数年にわたる修行を積みます。サンゴマには女性が多いことも知られています。

一方、「イニャンガ」は、主に薬草などの知識で人を治す人を指す言葉です。ただし、地域によっては両者の区別があいまいで、占いと薬草の両方を行う治療師も少なくありません。

骨や貝を投げる占い

占いの道具は、治療師ごとに集めた一式です。動物の骨、貝殻、彫刻をほどこした小さな駒、種、硬貨、石などが含まれ、経験を積むにつれて数が増えていくといわれます。治療師はこれらを敷物の上に投げ、その並び方を読み取ります。

読み取りは、道具の形だけで機械的に決まるものではありません。治療師は相談者と言葉を交わしながら、家族のこと、心配ごと、祖先からのメッセージなどを伝えていきます。こうした意味の読み方は修行の中で受け継がれる知識であり、外の人が手順をまねて行うものではありません。

ジンバブエのショナの人々の間では、模様を刻んだ4枚の板「ハカタ」を投げ、それぞれの表と裏の組み合わせで占う方法が知られています。4枚の表裏の組み合わせは16通りです。人類学者のファン・ビンスベルヘンは、この4枚板の占いが約500年前にジンバブエの高原でアラブの砂占いの影響を受けて今の形になり、周辺に広がったという説を示しています。16の図形を使うマダガスカルのシキディとも比べて論じられています。

社会の中での位置づけ

植民地時代には、伝統的な治療師は「ウィッチドクター(呪術医)」と呼ばれ、差別的に扱われました。ジンバブエ(当時の南ローデシア)では1899年に呪術を取り締まる法令が定められ、治療師の活動も抑えつけられました。

現在の南アフリカでは、2007年の「伝統的保健実践者法」によって、占い師や薬草師などが伝統医療の担い手として登録される仕組みが設けられています。病院の医療と伝統医療の両方を使い分ける人も多くいます。

よくある誤解・豆知識

「ウィッチドクター」という呼び方は、植民地時代の偏見を含んだ言葉です。南部アフリカの考え方では、治療師はむしろ人を害する呪術から人々を守る役目を持つとされてきました。

骨占いは、運勢を当てて楽しむためのものではなく、病や悩みに向き合うための、信仰と結びついた営みです。なお、占いの結果が科学的に確かめられているわけではありません。こうした文化に触れるときは、その土地の人々の信仰を尊重する姿勢が大切です。

参考文献

最終更新:2026-10-08

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