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キルトスコットランドのタータンの装い

タータンの毛織物を腰に巻き、うしろにひだを寄せて着るスコットランドの装い。もとはハイランド地方の男性の服で、今は結婚式や式典、ハイランド・ゲームズで着られます。大きな肩掛けからの移り変わり、禁止の時代、仕立て方を紹介します。

英国・スコットランドのハイランド地方18世紀前半〜(それ以前は大きな肩掛け)晴れ着・礼装今も続いている

概要

キルトは、タータン(色の縞を縦横に重ねた格子柄の毛織物)を腰に巻いて着る、スコットランドの装いです。前は布が平らに重なり、うしろには細かいひだが縫いとめてあります。

もとは、ハイランド地方(スコットランド北部の高地)の男性の服でした。今は、結婚式や式典、ハイランド・ゲームズ(伝統の競技会)などで着る正装として知られています。ゲール語では「féileadh beag(小さな巻き布)」と呼ばれます。

歴史

大きな肩掛けから

キルトのもとになったのは、「féileadh mòr(大きな巻き布)」と呼ばれる装いです。英語ではベルテッド・プラッド(ベルトで締める肩掛け)といいます。長さ4〜6ヤード(約4〜5.5m)、幅2ヤードほどの毛織物を地面の上でひだに折り、ベルトで腰に締め、上半分を肩にかけて着ました。

この下半分だけを独立させたのが、今のキルトの原型です。18世紀の初めの四半世紀に生まれたとされます。イングランド人の製鉄業者トマス・ローリンソンが、働く人のために考えたという話がよく知られています。ただし、研究者の間では、この説は疑わしいとされています。織機の幅が狭くなったことと結びつける見方もあります。

禁止の時代

1745年、ジャコバイトと呼ばれる勢力が反乱を起こし、多くの人がタータンを身に着けて戦いました。1746年にカロデンの戦いで敗れると、政府はハイランドの男性がキルトや肩掛け、タータンの服を着ることを法律で禁じました。政府軍のハイランド連隊だけは例外とされました。この禁止は1782年に解かれます。1810年ごろには、連隊も大きな肩掛けから小さなキルトに切りかえ、この軍服の形がその後の装いにも影響したとされます。

国の装いへ

1822年、国王ジョージ4世がエディンバラを訪れ、自らハイランドの装いをしました。作家ウォルター・スコットが催しを整え、各地の氏族(クラン)の長がそれぞれの「家のタータン」を用意しました。のちにヴィクトリア女王がバルモラル城を買い、城をタータンで飾ったことも、タータンとキルトを広く知らせるきっかけになりました。

着方・作り方

伝統的な男性用のキルトは、約8ヤード(約7.3m)のタータンを使って仕立てられます。布をうしろに何本ものひだに折り、手で縫いとめ、蒸気をあてて形を整えます。ひだの折り方には、タータンの中の1本の縦の筋が、どのひだの真ん中にも並ぶように折る方法などがあり、同じ柄でも仕上がりが変わります。

前は2枚の布が重なる形です。外側の布の端には、重いピン(キルトピン)をつけます。キルトと一緒に身に着けるものもいくつか決まっています。腰の前に下げる小さな袋「スポーラン」(ゲール語で「財布」の意味)、ひざ下までの毛の靴下、そして靴下に挿す小さなナイフ「スキャン・ドゥー」などです。結婚式などの正式な場では、これに上着を合わせます。

今の暮らしの中で

今のスコットランドでは、キルトは結婚式や式典などの晴れの日の装いとして着られています。ハイランド・ゲームズは各地で開かれ、9月のブレマー・ギャザリングのような大きな催しもあります。

タータンの柄は7,000をこえる数が記録されています。スコットランド議会は2008年に法律を作り、2009年からは国の機関「スコットランド・タータン登録所」が、新しいタータンの登録と古いタータンの記録をしています。王室のバルモラルのタータンのように許しが必要な柄もありますが、多くの氏族のタータンは、決まった規則ではなく慣わしとして着られています。

よくある誤解・豆知識

キルトとタータンは別のものです。 キルトは服の形の名前で、タータンは柄と布の名前です。タータンは、キルトのほかにも、肩掛けやズボン、小物などに使われます。

氏族のタータンの多くは19世紀に整えられました。 柄と家を一つずつ結びつける習わしは、1822年の国王の訪問のころから広まったとされます。

布団などの「キルト」とは別の言葉です。 日本語では同じ音になりますが、綿を挟んで縫う「キルティング」の英語は quilt、スコットランドの服は kilt と書きます。

参考文献

最終更新:2026-10-17

このページは、世界の装いと美容の品を、歴史と文化として紹介するものです。医療上の効果や、美容上の効果を保証するものではありません。肌に合わないときは使用をやめ、気になることは医師や薬剤師に相談してください。民族や信仰にかかわる装いは、その意味を尊重して紹介しています。

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