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森の幼稚園デンマークで始まった外の幼稚園

子どもたちが1日の多くを森や野外で過ごす「森の幼稚園」。1950年代のデンマークで、森で遊ぶ母親と近所の子どもたちから始まったと伝わります。コペンハーゲンの森へ向かうバスや、ドイツ・日本への広がりを紹介します。

デンマーク(コペンハーゲンの北のセレレズなど)1950年代〜(1970年ごろとする説明もある)遊びと学び今も続いている

概要

森の幼稚園は、子どもたちが1日の多く、またはすべてを、森や野原で過ごす幼稚園です。デンマーク語では「森の幼稚園(skovbørnehave)」や「自然の幼稚園(naturbørnehave)」と呼ばれます。

デンマークの百科事典「Lex」によれば、自然の幼稚園は、3〜6歳の子どもが、園にいる時間のすべて、または一部を自然の中で過ごす幼稚園です。町の中に園があり、決まった時期に自然の中へ移る形は「外へ移る幼稚園(udflytterbørnehave)」と呼んで、区別することもあります。

歴史

森へ通う母親から

始まりについて、よく語られる話があります。1950年代、コペンハーゲンの北のセレレズ(Søllerød)に住むエラ・フラタウは、毎日、自分の子どもたちと森へ遊びに出かけていました。それに気づいた近所の人たちが、自分の子どもも連れていってほしいと頼みます。やがて親たちの集まりができ、最初の森の幼稚園が作られた、というものです。ドイツ・バイエルン州の森林と林業の研究所の機関誌は、この話を紹介しています。

一方、Lexは、自然の幼稚園は1970年ごろに生まれたと説明しています。はじめは、1日に数時間だけ子どもを預かる、公の費用によらない保育でした。その後、さまざまな形に広がりました。

自然と幼稚園の考え方

自然を大切にする考え方そのものは、もっと古くからあります。Lexは、子ども時代を自然で汚れのないものとみる考え方が、ルソーからフレーベルへ受け継がれたと述べています。そのため、デンマークの幼い子どもの保育では、長く自然が大きな役目を果たしてきたといいます。フレーベルは、ドイツで「幼稚園(キンダーガルテン)」を名づけた教育者です。

ドイツでは1991年から、いろいろな形の森の幼稚園が生まれ始めました。2014年の時点で、ドイツ全体で約1,500か所と見積もられていました。

学びの風景

バスで森へ

デンマークの首都コペンハーゲンの市は、外へ移る幼稚園の仕組みを案内しています。親は朝、町の中の園に子どもを送ります。子どもたちはそこから園のバスに乗り、自然の多い場所へ向かい、帰りもまたバスで戻ります。市には、こうした園が50以上あります。

町の園が「森のバス」を使うこともできます。11人が乗れるバスで、市には今10台あります。毎日同じ場所へ行く園もあれば、季節や風、天気によって行き先を変える園もあります。2週間は園で、2週間は森で、と組を入れ替える園もあります。

もう一つの形が、「ルムレポッテ(rumlepotte)」と呼ばれる改造したバスです。子ども20人と大人3〜4人が乗れ、台所、トイレ、着替えを乾かす戸棚があります。座席とテーブルは、昼寝をする子のためにベッドに変えられます。

たき火と昼ごはん

コペンハーゲンの西のアルベルツロンにある森の組では、子どもたちは朝、湖のほとりに集まり、自転車で森のたき火小屋へ向かいます。小屋を拠点に、火をおこし、木の間で鬼ごっこをし、枝を集めて隠れ家を作ります。

昼ごはんの豆のハンバーグ作りも、子どもたちが手伝います。にんじんの皮をむき、トマトを切り、豆をつぶし、火に薪を足します。食べ終われば、皿洗いもします。食事の時間は時計で決めず、遊びの区切りに合わせています。この組に入るには、一人で自転車に乗れることが条件です。

デンマークの国の保育の指針は、6つのテーマの一つに「自然、外遊び、科学」を挙げています。国の省と評価機関の冊子は、デンマークの保育施設は昔から外に出ることが多いと書いています。外国から来た人は、泥だらけの外遊び着の子どもたちと、同じように泥だらけの保育者を見て驚くといいます。

今の暮らしの中で

森の幼稚園の考え方は、ほかの国にも伝わりました。日本でも、自然の中での保育が「森のようちえん」などの名で行われています。

鳥取県は2015年3月、「とっとり森・里山等自然保育認証制度」を設けました。1年を通して野外での保育を中心に行う園を、県の基準で認証します。基準には、原則として週5日、年39週活動すること、自然の中での活動が1週間におおむね10時間以上あることなどがあります。

よくある誤解・豆知識

形は一つではありません。 1日中森で過ごす園も、バスで森へ通う園も、決まった期間だけ外へ出る園もあります。

始まりの年には、いくつかの説明があります。 1950年代とする紹介が多い一方、デンマークの百科事典は1970年ごろとしています。いつを始まりとみるかで、答えが変わります。

雨や雪の日の備えもあります。 鳥取県の基準は、大雨や大雪、寒さから避難できる施設を備えることを求めています。コペンハーゲンのバスには、ぬれた服を乾かす戸棚があります。

参考文献

最終更新:2026-10-19

このページは、世界の子どもの学びの習わしを、歴史と文化として紹介するものです。教育の方法の良し悪しを比べたり、すすめたりするものではありません。

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