世界じょうしき図鑑

コカの葉占いアンデスの葉で読む

ペルーやボリビアなどアンデスの先住民の間で、儀礼の中で行われてきたコカの葉の占い。アンデスの暮らしとコカの葉の関わりを紹介します。

発祥:アンデス(ペルー・ボリビア)古くから継承儀礼解説のみ

概要

コカの葉占いは、ペルーやボリビアなどアンデス山脈の高地に暮らす先住民の間で行われてきた占いです。ケチュア語やアイマラ語を話す人々の社会で、儀礼の専門家がコカの葉を使って病気の原因や物事の見通しを読み取ります。

この占いを理解するには、まずアンデスの人々にとってコカの葉がどんな存在なのかを知る必要があります。

アンデスの暮らしとコカの葉

コカはアンデス東側の斜面などで栽培される低木です。人々は昔から乾かした葉を口に含み、ゆっくりかんできました。ペルー北部の遺跡を調べた考古学の研究では、コカの葉をかむ習慣が少なくとも約8000年前までさかのぼると報告されています。

コカの葉は、ただの嗜好品ではありません。人と人が出会ったときに葉を分け合うことは、あいさつや信頼のしるしになります。また、大地の母とされる「パチャママ」や、山の神々「アプ」に葉をささげる儀礼も行われます。人類学者キャサリン・アレンは、ペルー南部のケチュアの村での調査をもとに、コカの葉が人と人、人と大地や山々を結びつける役割を果たしていると論じました。

葉を読む占い

占いを行うのは、ボリビアのアイマラ語圏で「ヤティリ(知る者)」と呼ばれる人や、ペルー南部などで「パコ」と呼ばれる儀礼の専門家などです。

一般的には、専門家が布の上にコカの葉を落とし、葉の表と裏、向き、ほかの葉との位置関係などを読んで答えを導くとされます。相談の内容は、病気の原因や家族の問題、旅や商売、作物の出来などさまざまです。ボリビアの都市エル・アルトでの記録では、病気の父親を心配した家族がヤティリにコカの葉を読んでもらい、そのあと町の医師にも診てもらった例が紹介されています。占いと近代医療が、人々の暮らしの中で並んで使われていることがわかります。

言語学者ヴィート・ボンジョルノは、ケチュア語とアイマラ語で行われた占いの会話を録音して分析しました。その研究によると、占い師は「情報の出どころ」を示す文法を使い分け、コカが語った言葉と自分の言葉とを区別しているといいます。占いの言葉には、決まった言い回しと、その場に応じた言葉の両方が含まれています。

現代のコカをめぐって

コカの葉には、麻薬のコカインの原料となる成分が含まれています。そのため、1961年の国際条約「麻薬に関する単一条約」で規制の対象となりました。この条約には、コカの葉をかむ習慣を一定期間のうちに廃止するという規定もありました。

これに対し、ボリビアは2009年の憲法で、先祖伝来のコカを文化遺産として守ると定めました。さらに2013年には、国内で伝統的にコカの葉をかむことを認める留保をつけて、条約に復帰しています。ただし、これはボリビア国内に限った扱いです。

日本では、コカの葉は法律で麻薬として規制されています。旅行先で売られているコカ茶などを持ち帰ることはできません。

このサイトでの扱い

コカの葉の占いは、先住民の信仰と結びついた儀礼として今も行われています。そのため、このサイトでは文化的な背景の紹介にとどめ、体験は提供していません。

参考文献

最終更新:2026-10-08

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