ケンテガーナの細い帯を縫い合わせる布
幅10cmほどの細い帯を織り、何十本も縫い合わせて1枚にするガーナの布。アサンテの王の布として受け継がれ、エウェの人々も織ってきました。柄の名前と意味、男性と女性の着方、今の祭りや暮らしでの使われ方を紹介します。
ガーナ(アシャンティ州のボンウィレ、ボルタ州のエウェの村々など)17世紀ごろ〜布と染め今も続いている
概要
ケンテは、ガーナで織られてきた布です。幅10cmほどの細い帯を織り、その帯を何本も縫い合わせて、1枚の大きな布に仕上げます。赤・黄・緑・青など鮮やかな色の帯が並び、帯ごとに細かな模様が織りこまれています。
ガーナ中部のアサンテ(アシャンティ)の人々と、東部のボルタ地方などに暮らすエウェの人々が、どちらも少なくとも17世紀からケンテを織ってきたとされます。かつては王や地位の高い人々の布でした。今は、多くの男性と女性が、大切な行事や祝いの日に身に着けています。
歴史
アサンテには、ケンテの始まりについていくつかの言い伝えがあります。ボンウィレ村の2人の男性が、クモが巣を張るのを見て織り方を覚えたという話や、村の人が北西の土地から織機を持ち帰ったという話です。ガーナ観光局は、アサンテの王がこの布に心をひかれ、王のための技としたと紹介しています。「ケンテ」の名は、かごを表す言葉「ケンテン」からきたとされます。
初めのころは、青と白の綿の糸で織られていたといわれます。18世紀になると、ヨーロッパから運ばれてきた絹の布をほどき、その糸で織り直すことが行われました。1730年代には、王の宮廷で、さまざまな色の絹の布が使われていたという記録が残っています。20世紀の初めからは、絹のかわりにレーヨンが多く使われるようになりました。
柄には一つ一つ名前があり、王や位の高い人だけが身に着けられる柄もありました。ケンテは、王の地位とかかわりの深い布として受け継がれてきたのです。
着方・作り方
ケンテを織るのは、伝統的には男性の仕事です。2組の綜絖(たて糸を上下させる道具)を持つ小さな手織りの機で、細い帯を長く織ります。綜絖をもう1組使うことで、たて糸をよこ糸の下に隠し、色の塊のような模様を作ることができます。帯は切り分けて並べ、縁を縫い合わせます。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にあるエウェのケンテは、幅約10cm、長さ約280cmの帯19本でできています。
男性は、大きな1枚の布を体に巻き、端を左肩にかけて、右肩と右腕を出して着るのが一般的です。男性用の大きな布には24本ほどの帯が使われることもあります。女性は、大きな1枚を巻くほか、小さめの布を2〜3枚組み合わせて着ることもあります。
柄の名前は、織り手がつけることが多く、ことわざ、歴史のできごと、王母などの人物、身近な品などに由来します。ガーナ観光局は、柄は300をこえると紹介しています。エウェのケンテには、地位よりも日々の暮らしにかかわる柄が多いとされます。
今の暮らしの中で
アシャンティ州のボンウィレでは、今も王のケンテが織られ、毎年ケンテの祭りが開かれています。ボルタ州のアゴティメの人々も、毎年8月に「ケンテ祭り」を開き、速く織る腕前を競ったり、ケンテの衣装の出来を競ったりします。2026年8月には、31回目の祭りがクペトエで開かれました。
ガーナが1957年に独立したころ、初代の首相クワメ・ンクルマはケンテを身に着けて人前に立ち、この布を世界に知らせました。1960年代からは、アフリカから離れて暮らす人々の間でも、アフリカとのつながりを示す布として使われています。米国では、卒業式でケンテの肩掛けをかける人もいます。
よくある誤解・豆知識
1本の帯から始まる布です。 1枚の大きな布に見えても、近くで見ると細い帯の縫い目が並んでいます。帯の並べ方で、全体の模様の見え方が変わります。
印刷の「ケンテ柄」もあります。 ケンテの模様を布に印刷した品も多く出回っています。手で織ったケンテとは作り方の違う布です。
柄は「読む」ものでもあります。 柄の名前には、ことわざや人物の名前が込められています。どの柄を選ぶかに、着る人の思いが表れることがあります。
参考文献
- Victoria and Albert Museum「Kente」CIRC.321-1964 https://collections.vam.ac.uk/item/O164606/kente-textile-unknown
- Ghana Tourism Authority(visitghana.com)「Bonwire Kente」 https://visitghana.com/bonwire-kente/
- Duncan Clarke「Asante Kente Cloth」Adire African Textiles https://www.adireafricantextiles.com/textiles-resources-sub-saharan-africa/some-major-west-african-textile-traditions/asante-kente-cloth/
- The Nelson-Atkins Museum of Art「Strip of Kente Cloth」(Samuel Cophie、2007年) https://art.nelson-atkins.org/objects/54458/strip-of-kente-cloth
- The Metropolitan Museum of Art「Kente cloth」所蔵品の解説 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/316800
- National Endowment for the Humanities「Wrapped in Pride: Ghanaian Kente and African American Identity」(NEH on the Road) https://www.neh.gov/project/neh-road
- Ghana News Agency「Agortime celebrates 31st Kente Festival with call to preserve heritage, empower youth」2026年8月 https://gna.org.gh/2026/08/agortime-celebrates-31st-kente-festival-with-call-to-preserve-heritage-empower-youth/
- Manhyia Palace Museum「History of Manhyia Palace Museum」 https://manhyiapalacemuseum.org/history-of-manhyia-palace-museum/
- Wikipedia「Kente cloth」 https://en.wikipedia.org/wiki/Kente_cloth
最終更新:2026-10-17
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