世界じょうしき図鑑眠る

ハンモック南米の先住民がつるして眠る寝床

柱や木のあいだにつるして眠るハンモックは、中南米の熱帯の低地に暮らす先住民の寝床でした。1500年にブラジルの海岸で書かれた手紙や、アマゾンのヤノマミの大きな家の夜から、その眠りの風景と世界への広まりを紹介します。

中南米の熱帯の低地(アマゾン川流域・ブラジルの海岸・カリブ海の島々など)ヨーロッパ人の到来より前から〜寝具今も続いている

概要

ハンモックは、太いひもや布を網のように編み、両はしを柱や木に結んでつるす寝床です。もともとは、中南米の熱帯の低地に暮らす先住民の寝床でした。地面から離れたところで眠るための道具です。

スペイン語の「アマカ(hamaca)」は、カリブ海の島々に暮らしていたアラワク語系の人々の寝具の呼び名に由来するとされます。英語の「ハンモック(hammock)」も、この言葉から生まれました。一方、ポルトガル人は、漁の網に似ていることから、ブラジルでこれを「ヘージ(rede、網)」と呼ぶようになったと説明されています。

歴史

日本の百科事典は、ブラジルの先住民が木の皮で編んだものを使っていたのが始まりといわれる、と説明しています。古いハンモックには、つるくさや、トゥクンやブリチーといったヤシの繊維が使われ、のちに綿の糸が多く使われるようになったとされます。メキシコの木の皮で作ったものや、布で作ったものなど、土地ごとにさまざまな形があります。

ヨーロッパ人がハンモックを知ったのは、コロンブスがアメリカ大陸に着いてまもなくのことでした。ブラジルの記録で早いものは、1500年にポルトガルの船団の書記ペロ・ヴァス・デ・カミーニャが国王にあてた手紙です。

ハンモックは、たたんでしまえて、風通しのよい寝床として、ヨーロッパの商船や軍艦で船乗りの寝床に使われるようになりました。

眠りの風景

1500年5月1日、今のブラジル東部ポルト・セグーロで書かれたカミーニャの手紙は、海岸の村の様子を伝えています。村には9〜10軒の家があり、1軒の長さは船団の旗艦ほどもあったといいます。家は木で造られ、わらでふかれ、中は仕切りのない一つの広い空間で、たくさんの柱が立っていました。1軒に30〜40人が暮らしていたそうです。

その柱から柱へ、ひもで結んだハンモックが高くつるされ、人々はそこで眠りました。ハンモックの下では、暖まるための火がたかれていました。

それから500年ほどたった今、アマゾンの森に暮らすヤノマミの人々は、大きな円い家に共同で住んでいます。家族ごとに自分たちのかまどがあり、昼はそこで食べものを調理します。夜になると、ハンモックをかまどの火のそばにつるし、火は暖をとるために夜通し燃やされていると紹介されています。

今の暮らしの中で

ブラジルでは、ハンモックは今も身近な寝床です。北東部はハンモック作りの中心で、パライバ州のサン・ベントは「世界のハンモックの都」と呼ばれ、毎年たくさんのハンモックを作っていると紹介されています。今は綿の糸のほか、化学繊維のものも多く使われています。

ヤノマミの人々は、ブラジルとベネズエラの国境の両側に暮らし、ブラジル側では2023年に約3万人とされます。1987年からは金を探す人々が土地に入りこみ、暮らしが脅かされてきました。1990年のインタビューでは、大きな家を離れ、森の中でビニールの覆いの下の小さな小屋に暮らすようになった人々のことも語られています。

よくある誤解・豆知識

地面から離してつるすのには、わけがあったとされます。 ヘビやかみつくアリなどから離れて眠れることが、理由の一つとして説明されています。

アマゾンの人々にとって、ハンモックは寝るだけの道具ではありません。 結婚の習わしなど、暮らしの節目にかかわる意味を持つことがあると、百科事典は紹介しています。

「ヤノマミ」は「人間」を意味する言葉から来ています。 人類学者が、「人間」を表す「ヤノマミ・テペ」という言い方をもとに、民族の名として使うようになったとされます。

参考文献

最終更新:2026-10-17

このページは、世界の眠りの習わしを、歴史と文化として紹介するものです。睡眠や健康についての助言ではありません。眠りのことで困ったときは医師に相談してください。赤ちゃんの寝かせ方は、自治体や小児科の案内に従ってください。

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