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ポルターアーベントドイツの結婚前夜の器割り

ドイツで、結婚式の前の晩などに、家族や友人が持ち寄った陶器や磁器を割って二人を祝う習わしです。16世紀の記録に残る名前から、割れた破片を二人で片づける今の祝い方まで、その歴史と流れを紹介します。

ドイツ16世紀〜結婚今も行われている

概要

ポルターアーベント(Polterabend)は、ドイツの結婚にまつわる習わしです。結婚式の前の晩などに、二人の家族や友人が集まり、持ち寄った陶器や磁器を地面に投げて割ります。

名前は、「がたがたと音を立てる」という意味のドイツ語の動詞 poltern と、「晩」を意味する Abend を合わせたものです。ドイツ語の辞書の Duden は、結婚の前の晩に、古いならわしに従って花嫁の両親の家の前などで磁器を割り、その破片が二人に幸せをもたらすとされる、と説明しています。

歴史

16世紀の記録

ドイツ語の語源辞典(ファイファー編)によると、「ポルターアーベント」という言葉は16世紀の前半から記録に残ります。それより少し前の16世紀の初めには、「プルターナハト(がたがた騒ぐ夜)」という言い方がありました。辞典は、物音を立てて食器を割り、悪いものや災いを追い払って、結婚から遠ざけようとする晩だと説明しています。習わしがいつ、どこで始まったのかは、はっきりしていません。

辞書と百科事典に見る姿

18世紀の終わりの1798年に出たアーデルングの辞書は、この晩を、婚礼の家で翌日の支度のために片づけをし、物音が絶えない晩と説明しています。多くの土地で、近い親戚とごちそうを食べる晩でもありました。田舎では翌日の宴のために鶏をつかまえることから、「鶏の晩」とも呼ばれたといいます。

1861年のピーラーの百科事典は、ドイツの多くの地方で、新しい夫婦の道具に場所を空けるために、古い道具を音を立てて割った晩だと書いています。1908年のマイヤーの百科事典は、ごちそうや冗談、踊り、ちょっとした劇で過ごし、贈りものを渡す晩だと説明しました。名前のもとは、花嫁の家の戸口でつぼを音高く割る古い習わしにあるとしています。

祝い方・祭りの流れ

ポルターアーベントは、もともと結婚式の前の晩に開かれてきました。場所は、花嫁の家やその両親の家の前が多いとされます。

集まった人たちは、家から持ってきた古い皿やカップなどの陶器や磁器を、次々に地面へ投げて割ります。にぎやかな音そのものが、この晩の中心です。音には悪いものを追い払う意味があると、昔から説明されてきました。

割るものには決まりがあります。ドイツの文化を紹介するゲーテ・インスティトゥートの教材は、グラスや鏡は割ってはいけないとしています。割ると不幸を招くとされるためです。

割れた破片は、二人がいっしょに掃き集めて片づけます。教材は、翌朝に二人で片づけることで、夫婦の協力を深めるとされる、と説明しています。公共放送の解説サイト「プラネット・ヴィッセン」は、この片づけを、二人の息が合うかを試す「ハーモニーの試し」と呼ばれるものだと紹介しています。

今の暮らしの中で

ポルターアーベントは、今もドイツの結婚式の前の習わしとして知られています。ヴェストファーレン地方の民俗を調べる公的な委員会は、2005年に、花輪づくりやポルターアーベントを結婚の前の伝統的な習わしとして挙げました。同時に、独身最後の晩を友人と過ごす「ユンゲゼレンアプシート」のような、新しい習わしが広まっていることも紹介しています。

開く時期も変わってきました。結婚式の前の晩ではなく、数週間前に開く人もいるとされます。ラインラント地方の研究では、1980年代の終わりから集まりが大きくなり、たくさんの破片の片づけなどを理由に、形を変えたり、ほかの集まりにしたりする例が出てきたとされます。

よくある誤解・豆知識

「ポルターガイスト」と同じ言葉が入っています。 物音を立てる霊を指すドイツ語の Poltergeist も、poltern(がたがた音を立てる)と Geist(霊)を合わせた言葉です。

国によって意味が違います。 オーストリアなどでは、「ポルターアーベント」や「ポルターン」という言葉が、独身最後の晩の集まりを指して使われることがあります。

「破片は幸せを運ぶ」といわれます。 ドイツ語には Scherben bringen Glück(破片は幸せをもたらす)という言い回しがあります。ゲーテ・インスティトゥートの教材も、この言い回しでポルターアーベントを説明しています。

参考文献

最終更新:2026-10-19

このページは、世界の人生の節目のお祝いを、暮らしの行事として紹介するものです。宗教の教えの説明や、参加・まねをすすめるものではありません。

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